第7回アランブラ国際ギターコン クール~アルコイ(スペイン)


4月13~17日、アルコイで開催された、
第7回アランブラ国際ギターコンクールに参加しましたので、様子を報告させて頂きます。

11日の早朝に出発。先日爆破テロのあったレンフェ(国鉄)を使用するため少々不安もありましたが、
バルセロナ~バレンシア~アルコイと合計約6時間の道のりを無事到着することができました。
アルコイへ向かう途中の車窓は「山を越え、谷を越え~」といった感じで、
一体どんなところへ行くんだろう?という気がしましたが、着いてみるとさほど田舎ではなく、
古さと新しさの入混じった美しい街並みでした。
巨匠ホセ・ルイス・ゴンサレスはこの街に住んでいたんだ、という感動もありました。
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この日と翌12日はフィエスタ(祭り)の真っ最中で、ある英雄伝説にもとづいたものらしく、
中世の騎士に扮した集団がブラスバンドの行進曲に乗って通りを行進していましたが、その様子や群がる人々、
またはベランダから見下ろしているたくさんの人達の光景は何とも言えない風情のあるものでした。
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13日からいよいよコンクールが始まりましたが、
午前にレセプションがあり、同日の午後と14日に1次予選(非公開)が行われました。
申し込みは60~70名で、実際に来た30数名が、
課題曲であるドビュッシー讃歌(ファリャ)、ソナタより第1楽章(ホセ)を演奏し、僕を含め18名が通過しました。

15,16日と2次予選が行われ、課題はフーガ~BWV1001より(バッハ)と、
時代の異なる作品による20分のプログラムでした。
その結果、マルコ・タマヨ(キューバ)、ゴラン・クリポカピッチ(モンテネグロ)、
ヨハン・フォスティエール(ベルギー)、ダビッド・マルティネス・ガルシア(スペイン)の4名が通過しました。
タレガ、アルメリア、東京、ハバナ、他の国際コンクール優勝者達も落選しているなど厳しいコンクールだと感じました。
僕は課題曲の他に、祈祷と踊り(ロドリーゴ)、序奏、主題、変奏と終曲(レニャーニ)を演奏し、
大きなミスもなくそこそこの出来でしたが7位という点数でした。

17日、午後7時から本選が行われましたが、
課題は自由な選曲による30分のプログラムで、トップはマルコ・タマヨが演奏。
数々の国際コンクールに入賞し、すでに活発な演奏活動を展開しているギタリスト。
序奏とカプリス(レゴンディ)は、難しいパッセージは完璧にこなすなど、テクニックは十分。
その昔イタリカが音に聞こえ(ロドリーゴ)は、今まで聞いた誰よりも速く弾いたという印象。
非常に高いテクニックの持ち主ではあるが、突然速くなったりする音価の捉え方が気になるところ。
続いてアレッサンドリア国際ギターコンクールの優勝者、ゴラン・クリポカピッチ。
細い音ながらも、しっかりミスのない演奏。
ロッシニアーナ第5番(ジュリアーニ)は、音楽の流れを理解し、
音色の変化や、テンポの揺れも様式感が漂う完璧な演奏。
ソナタ(ヒナステラ)もじっくり味わい深いながらも鮮やかで、集中力の高い音楽でした。
3人目はGFA国際ギターコンクールの優勝者ヨハン・フォスティエール。
スペインのフォリアによる変奏曲(ポンセ)を演奏しましたが、
この長大な曲を飽きさせず、多彩な音色で完成された音楽を聞かせてくれました。
各変奏の特徴を十分把握し、小気味よかったり、力強かったり、思い入れたっぷりに歌ったり。
しかし反面、コンクールということを考えればこの1曲では不利ではないかとも思いました。
最後は、リナーレス、べレスマラガなどのコンクールに入賞したダビッド・マルティネス・ガルシア。
ラルゴとアレグロ~BWV1005より(バッハ)、ファンタジア(ゲルハルド)、パバーナ・トリステとアレグロ(ホセ)、
カプリチョ13番(パガニーニ)、ソナタK32(スカルラッティ)というバラエティに富んだプログラム。
音楽に集中して演奏してはいるものの全体に存在感の薄い印象。
しかし最後に弾いたスカルラッティは本人の愛着の感じられる大変美しい音楽に仕上がっていました。

1位、ゴラン・クリポカピッチ
2位、マルコ・タマヨ
3位、ヨハン・フォスティエール
ファイナリスト、ダビッド・マルティネス・ガルシア

という結果になりましたが、おおよそ妥当な審査でオルガナイズもしっかりしていて大変いいコンクールでした。
1次を通ったおかげで主催者側の用意したホテルに移ることができましたが、それが3つ星のいいホテル。
快適な環境の中、約1週間たくさんの経験と勉強ができ、参加することができてよかったと思いました。
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