9月25日(月)
9月23日から25日まで行われた、メルセ祭に行ってきました。
これはバルセロナの伝説的な守り神である“メルセ”という人物を祭ったもので、
最も規模の大きなお祭りの1つです。
バルセロナ各地で大きな人形や人間の塔、仮装隊や音楽隊のパレード、
それぞれの特設ステージで催されるジャズやロックやクラシックのコンサート、
また夜には花火などのイベントもあります。
その 他、主要な通りや広場ではあらゆる種類の出店や骨董市もあり、町全体が大変賑やかになります。
民族衣装やスペインのお祭りには恒例の大きな人形の行進など、
カタルーニャの伝統を感じさせる一方、特設のコンサート会場や小劇場などはモダンな雰囲気で、
古いものと新しいものが融合されています。

僕にとってはメルセ祭を見るのは最後になると思いますが、これからもこのお祭りは続き、
新しいものを取り入れて次々とそれが伝統になっていくんだなぁーとか、ふと考えました。


9月22日(金)
カサミラにて行われたシェーンベルク展を見ました。

シェーンベルクは20世紀を代表する作曲家で、12音技法の創始者。

この展示会はCaixa Catalunyaという銀行の提供により入場無料で、シェーンベルクの自筆譜や遺品、
映像や音楽作品の鑑賞室、また彼自身の手による絵画などを見ることができます。
シェーンベルクに限りませんが、作曲家自身の自筆譜というのは貫禄があり、
とても貴重なものを拝見するような気がします。
また、彼が絵を描いていたというのは知りませんでした。
ある芸術家が、色々な分野で才能を発揮するというのはたまにあることですが、
アイデアや表現意欲に満ちた人にとっては、表現することの前には、
手段はそれほど重要ではなくなってくるのでしょうか。
彼の自画像は何か、彼にしか見ることのできなかった高みへ目をやっているようです。
僕はとてもシェーンベルクが好きです。一般的には響きが固い、厳格過ぎる、
分かりにくいというイメージが先行しているようで、偉大な作曲家ではあるけれども、
いまいち人気のある作曲家というわけではないように思います。
しかし、自分の考えを貫いたところ、また数十年後や数百年後を見通したような
意思の強さというものが音楽に表れていると思います。

ちなみに、こういった展示会を無料で紹介するような体制が整っている、
現代音楽に対しての理解というものを考えると、
やっぱりまだまだクラシック音楽の本場はヨーロッパであるのだなーと感じさせられます。


9月18日(月)
とある楽器店でラファエル・カセレス・フェレーラなる人物作のギターを見つけました。

ラベルには製作年の記載がないので分かりませんが、
20世紀初頭どころか、1890年から1905年頃までの間であるらしい。
柔らかくて艶っぽく、それでいて芯のある音がポンポン鳴ります。
またボディ、弦長、ネックなど、サイズが微妙にコンパクトで弾き易い。
バイオリンではストラディバリウスなど、古い楽器が素晴らしくて貴重なものであるのは知られていますが、
ギターでもそれはある程度当てはまるということを最近感じています。


9月16日(土)
最近、20世紀初頭の、製作されてから100年前後のギターに興味を持っています。
これまでにそういうギターをいくつか弾いてきたのですが、
製作されてから間もないギターにはない音の香りというか、
艶やかで完成された柔らかい音が空間を温かく包むような、そんな響きを持っています。
もちろんギターにもよりますが、いい状態で保存された良いギターは大変素晴らしい。
実は、今僕達が弾いている現代のギターはあまり長い間、
ギターの世界で中心的な楽器ではあり続けられないのではないか、という風に個人的に感じたりします。
新しいアイデアが次々生まれて形が変わっていくか、
もしくは前の時代の形が見直されて、少し小型化されるか・・・。
まあ実際はどうなるか全然分かりませんが。
でも現在の多くのギタリストが19世紀ギターを演奏したり、アントニオ・デ・トーレスをはじめ、
現代のギターよりも心持ち小さめな20世紀初頭のギターを用いたりしているのは、
オーセンティックな演奏を目指したものという理由だけではないような気がします。


9月15日(金)
カルレス・トレパット先生に久しぶりにお会いしました。
彼はバルセロナから列車で3時間ほどのところにある
ジェイダという街に住んでおられますが、こうやってたまに出てこられます。
バルセロナに来られる時は、親しくしている知り合いの家にいつも泊まるそうで、
今回はそこにお邪魔させて頂き、長い時間に渡って演奏のアドバイスを頂きました。
また彼愛用のサントス・エルナンデスは製作されてから
70~80年の大変古いギターですが、それで演奏も聴かせてくださいます。
とても柔らかい響きでどこかひなびいて懐かしい、完全に手の内に入った音と音楽で、
彼が弦を爪弾くとそれは何か魔法でもかけているような、そんな大変素晴らしいものです。
スペインに来てから2年ほどは、ギターのレッスンは学校で受けていたために、
時間の限られた中での、というかどこか少し事務的な感じのする中で勉強していましたが、
やっぱり音楽レッスンはこうやって先生の自宅にお邪魔し、
何か人間的な繋がりも感じさせてくれるような環境というのが、やっぱり僕は好きです。


9月9日(土)
今年度からバルセロナにギター留学に来るK君の歓迎パーティをしました。
K君に内緒で進められたこのプロジェクト(←大袈裟)は、
バルセロナで日本人が経営する寿司屋でバイトをするYさんの手作りのお寿司がメイン。
その寿司屋で調達したといううなぎやサーモンのにぎりはまさに職人技。
久しぶりの日本食を堪能させてもらいました。
その後、K君の初オリーブの洗礼へと続いたのでした。。。
(と言いつつ自分もちゃっかり、わさびの洗礼を受けましたが。)
バルセロナにギターを学びにやってくる日本人留学生は最近徐々に増えていて、
初めて僕がやってきた頃に比べると賑やかになりました。
この街はスペインではあるけれども、ヨーロッパの雰囲気も持ち合わせていて、
ギター、そしてヨーロッパ音楽を学ぶにはとてもいい環境だと思います。
また、ある中国人の友達に聞いた話ですが、
中国ではバルセロナは運を上昇させる街だと言われているそうです。
というのも北に山、南に海という地理的条件を持っていることが何やら良いらしいですが、
中国五千年の歴史はばかにできません。
バルセロナで勉強するみんなが運をつかみ、よりよい人生に実って行ってくれればなーと思います。


9月3日(日)
新しい部屋の近所 をぶらぶらと散歩していると、小さな教会を見つけました。
中に入ってみるとそれほど大きくはないけれども、比較的新しくて驚くほど綺麗。
柱や壁の石もつやつやしていて、シャンデリアや金色の飾り付けでキラキラしている。
中庭は、回廊が庭をぐるっと囲む感じで、グラナダのサン・ヘロニモ修道院を思い出させるような造り。
ゴシック地区のカテドラルやサンタ・マリア・デル・マル教会などはとても有名ですが、
そういうもの以外にも市民が手軽に礼拝に行けるよう、
各区域にこういった小さな教会が町のいたるところにあります。
こういうところからしても、バリバリのカトリックの国だなーと感じさせられます。
また、この教会の近くにはスーパーマーケットと市場が一緒になったような、大きなマーケットがあります。
サン・ジョセップ市場に比べるとずいぶん小さいですが、
まあ十分な食材がそろっており、近場にあるというのはとてもありがたい。
というわけで、新しい環境に徐々に慣れていく僕なのでした。


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