6月23日(金)
サンホアンの火祭りが、バルセロネータという海岸に近い一画の広場で行われ、行ってきました。
ちょっと凝ったルンバ風のリズムを叩く太鼓の集団がどこからともなく現れ、
しばらくそれが続いた後、不気味な悪魔の格好をした集団が、
火の粉を撒き散らしながら広場の中央を暴れまくります。
このフィエスタには2年前にも行きましたが、火の粉が降りかかるような勢いと、
その爆竹音は相変わらずかなりの迫力。近付けば近付くほどスリルが味わえます。
スペイン人はこういったスリル満点のイベントが大好きです。
その後、例によって海岸で朝まで打ち上げ花火が続けられました。
こんな深夜でも海に入って泳ぐ人、爆竹を鳴らしまくってはしゃぐ人、
やたらと高い値段でビールを売り歩くアラブ系のお兄ちゃんなど、
この陽気な感じ、開放的な感じはいかにもバルセロナの雰囲気だなーと思いました。
PHOTO欄Landscape5に火祭りの写真を追加しましたのでご覧下さい。


6月22日(木)
ワールドカップ、1次リーグでの日本対ブラジル戦を観戦しました(TVで)。
日本にいるときは、日本の国際試合はほとんどいつも観戦していましたが、
こちらスペインに来てからはほとんど見ることがありません。なのでちょっと興奮気味に応援。
しかしスペイン国内放送向けのアナウンサーや解説者の会話が面白い。
日本で見ているのとは全く違っていて、いかにも外国で日本戦を見ているという感じ。
例えば後半、中田浩二選手が出てきたときなど、
「Otro Nakata?(もう一人の中田?)」
「Ah,Si?(あー、そう?)」
とか何とか言いながら驚いているときはちょっと爆笑でした。
それから、やたらと川口選手が気に入ったと見えて、
「Kawaguchi Kawaguchi !!!」と何度も連発していました。
彼は外国人にも訴えるような実力とスター性があるのでしょうか。
好セーブの後の怒っているシーンなど、「怒ってるぞ怒ってるぞ!」とおおはしゃぎでした。
また試合の流れの大半が決まってきた終盤などは、
ほとんど試合と関係のないプライベートな会話をしていたり、
日本では考えられない解説だなと思いました。
ちなみにスペインは1次リーグ3連勝で余裕の16強入り。
3戦ともテレビ観戦しましたが、個人的な技術も組織力もレベルの高いチームですね。
特にF・トーレスは、このワールドカップを機に世界的な選手になる可能性を持った素晴らしいストライカー。
いつしかスペインを応援している自分がいたりします。


6月7日(水)
カタルーニャ音楽堂で行われた今年のバルセロナギターフェスティバルの最終コンサートを聴きました。
チャビエ・プイ指揮によるオーケストラ・シンフォニエッタ・ポルタ・フェラーダの共演で、
ギターの鈴木一郎
、ペペ・ロメロの両氏がそれぞれコンチェルトのソリストを勤め、
またオケのみでベートーヴェンの交響曲第1番も演奏されました。
このオケは大変素晴らしいアンサンブルで、拍手喝采の完璧なものでした。
特にベートーヴェンでは、
会場全体が響きの渦に巻き込まれるような圧倒的な演奏で、
この作品の卓越したオーケストレーションがひしひしと感じられました。
前半はもう一つ、鈴木さんをソリストに「6つの歌と踊り」が演奏されましたが、
これはカタルーニャの作曲家F・モンポウのピアノ曲を平吉毅州さんがギターと弦楽のために編んだもの。
後半はペペ・ロメロがソロで、入り江のざわめき、アストゥリアス(アルベニス)、
そして再びオーケストラが登場し、アランフェス協奏曲(ロドリーゴ)というものでした。
ペペの表現はこれでもかというぐらいスペイン臭さどっぷり。
彼はフラメンコも弾くので、それがクラシック作品にも抜けきらないのかも知れませんが、
それが良くも悪くも個性となっているのだと思います。
アランフェス協奏曲も堅実なテクニックで手馴れた演奏。大変盛り上がりました。
ちょっと些細なことですが、このオーケストラのコントラバス奏者が目を引きました。
音楽の躍動に合わせて踊っているような感じの演奏姿で、
自分のパートが休みの所は片手に刀を携えたサムライのよう。
自然に音楽を感じて、それが自然に演奏中の姿に現れるというのは、
見ている方からしても、とても気持ちのいいものです。
ちなみに会場のカタルーニャ音楽堂はPHOTO欄Landscape13に写真をアップしています。


6月1,2日(木、金)
ルティエール芸術音楽学校で、ギリシャのピアニストであり指揮者でもある
ジョルジュ・ハジニコスによるマスタークラスが行われました。
この学校の生徒数名がギター、ピアノ、チェロ、ソプラノなど楽器を問わずレッスンを受講しました。
ジョルジュのレッスン法はほとんど、彼の感じるフレージングをそのまま生徒に真似をさせるというもの。
かなり細かいニュアンスを求める上、少しでも納得できなければ何度でもNo!
と言い続けるので、生徒の方もかなり大変そう。
レッスン時間中、ほとんど同じことばかりを言い続けているような時もあり、
正直なところ、教え方としては要領の悪い面もありますが、
彼の言おうとしていることは一貫していて、
彼の感じるとても自然でゆったりとした抑揚やフレージングや拍節感、
ほとんどこの一点に尽きており、それはとてもよく理解のできるものでした。
多くの生徒にとっては大変難しそうで、何度も何度も同じフレーズを繰り返されていて、
レッスンとしては単調で退屈なものでしたが、
僕が思うに、ああいった音楽の感じ方は60歳、70歳になった円熟した音楽家の成せることであって、
勉強中の若い演奏家にはなかなか理解できないけれども、
それを何とか教えようとしている、そんな感じでした。
生徒達が長い目で見て、いつか少しずつ理解できるようになっていけるような、
そういう意味では大変いいレッスンであったと思います。
ああいった落ち着いた音楽、成熟した音楽、本当に内容のある音楽を理解することができるような、
そんな人生の積み重ね方をして行きたいという風に、どこか思わせてくれました。

homeback